有名企業の失敗事例から学ぶ炎上対策5つの鉄則|広報・SNS担当者必見
企業のSNS炎上は、もはや他人事ではありません。たった一つの不適切な投稿が、長年かけて築き上げたブランドイメージを瞬時に失墜させ、売上減少に直結する深刻な経営リスクです。本記事では、有名企業の実際の失敗事例を徹底分析し、そこから導き出される「炎上を未然に防ぐ5つの鉄則」を具体的に解説します。さらに、万が一炎上してしまった場合の鎮静化に向けた事後対応フローも網羅。炎上の多くは運ではなく、組織的な「備え」の欠如が原因です。この記事を読めば、炎上の原因から予防策、事後対応まで、広報・SNS担当者が知るべき全てが分かり、自社のレピュテーションを守るための確かな一歩を踏み出せます。
そもそも企業のSNS炎上とは何か
企業のSNS炎上とは、企業や従業員によるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上の投稿、あるいは自社の製品やサービス、広告などに対して、インターネット上で批判や非難が殺到し、情報が爆発的に拡散されて収拾がつかなくなる状態を指します。単なるクレームや一時的な批判とは異なり、第三者を巻き込みながらネガティブな情報が連鎖的に拡散し、企業のコントロールが及ばなくなる点が特徴です。
スマートフォンの普及により、誰もが情報の発信者かつ受信者となった現代社会において、SNS炎上はもはや他人事ではありません。たった一つの投稿が、企業の存続を揺るがすほどの大きな経営リスクに発展する可能性があるのです。
炎上が企業に与える3つの深刻なダメージ
一度炎上が発生すると、企業は計り知れないダメージを負うことになります。その影響は多岐にわたりますが、特に深刻なダメージとして以下の3つが挙げられます。
これらのダメージは相互に関連し合っており、一つの炎上が企業の根幹を揺るがす事態に発展する危険性をはらんでいます。
| ダメージの種類 | 具体的な内容と影響 |
|---|---|
| 1. ブランドイメージの毀損と信頼の失墜 | 顧客や取引先、社会全体からの信頼が大きく損なわれます。長年かけて築き上げてきた誠実な企業イメージやブランド価値が、たった一度の炎上で地に落ちてしまうケースも少なくありません。いわゆる「レピュテーションリスク」であり、一度失った信頼を回復するには、多大な時間と労力が必要となります。 |
| 2. 売上減少や株価下落などの経済的損失 | ブランドイメージの悪化は、製品やサービスの不買運動、顧客離れ、契約解除といった直接的な売上減少につながります。上場企業であれば株価が急落し、時価総額が大幅に減少することもあります。さらに、炎上の鎮静化に向けたお詫び広告の出稿、コールセンターの増員、コンサルティング費用など、想定外のコストが発生することも大きな経済的打撃となります。 |
| 3. 従業員の士気低下と採用活動への悪影響 | 炎上は社外だけでなく、社内にも深刻な影響を及ぼします。自社が世間から激しい批判に晒されることで、従業員は精神的なストレスを感じ、仕事への誇りを失い、エンゲージメントが著しく低下します。これが離職率の増加につながることもあります。また、企業の評判悪化は採用活動にも直結し、「あの炎上した会社か」というイメージが定着することで、優秀な人材の確保が極めて困難になるという長期的なダメージも負うことになります。 |
なぜ炎上は起こるのか 近年増加する炎上の原因
では、なぜこれほどまでにSNS炎上が頻発するのでしょうか。その背景には、社会の変化と情報伝達手段の進化があります。主な原因は、大きく分けて以下の4つに分類できます。
- 企業(公式アカウント)の投稿や広告:担当者の知識不足や配慮に欠ける表現、ジェンダーや人種、容姿などに関する不適切な内容、事実誤認、ステルスマーケティング(ステマ)などが原因となります。
- 従業員の不適切な言動:勤務中の不謹慎な写真や動画の投稿(いわゆる「バイトテロ」)、社内や顧客の個人情報の漏洩、SNS上での差別的な発言や暴言などがきっかけとなります。
- 製品・サービスの問題:製品の欠陥や異物混入、サービスの品質低下、虚偽または誇大な商品説明などがSNSで告発され、拡散されるケースです。
- 顧客対応の失敗:店舗やコールセンターでの不誠実な対応が録音・録画され、SNSに投稿されることで炎上し、さらにその後の公式対応のまずさが火に油を注ぐ「二次炎上」に発展するケースも増えています。
これらの原因の根底には、SNSの爆発的な拡散力に対する認識の甘さと、コンプライアンスや人権意識に対する社会の厳しい目への理解不足があります。ひと昔前は問題視されなかったような表現や内輪の冗談が、現代の多様な価値観の中では深刻な差別や人権侵害と受け取られ、瞬く間に炎上へと発展するのです。広報やSNS担当者だけでなく、全従業員がこの変化を正しく認識し、高いリテラシーを持つことが不可欠となっています。
【事例で学ぶ】有名企業の炎上とその後の対応
SNSでの炎上は、今やどの企業にとっても他人事ではありません。ここでは、過去に日本国内で実際に起こった有名企業の炎上事例を3つのパターンに分けて解説します。他社の失敗から学ぶことで、自社が取るべき具体的な炎上対策のヒントが見えてくるはずです。なぜ炎上したのか、その後の対応はどうだったのか、そして私たちは何を教訓とすべきなのかを詳しく見ていきましょう。
事例1 不適切なキャンペーンによる炎上
良かれと思って企画したキャンペーンが、予期せぬ批判を呼び炎上につながるケースは後を絶ちません。特に、割引キャンペーンやプレゼント企画では、企画内容の配慮不足やシステム上の不備が大きな火種となることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | 2022年、ドミノ・ピザが「Lサイズピザを買うとMサイズピザ2枚が無料」というキャンペーンを実施。しかし、注文が殺到しすぎて公式サイトやアプリがサーバーダウン。多くの店舗でピザの提供が大幅に遅延したり、注文がキャンセルされたりする事態が発生しました。 |
| 炎上の原因 |
|
| 企業の対応 | 同社は公式サイトで謝罪文を掲載し、キャンペーンを途中で中止。後日、お詫びのクーポンを配布するなどの対応を取りました。しかし、初期対応の遅れや、楽しみにしていた顧客の期待を裏切ったことへの批判はすぐには収まりませんでした。 |
| この事例からの教訓 | 魅力的なキャンペーンを企画する際は、システムや店舗オペレーションに与える影響を多角的に検証し、十分な準備をすることが不可欠-mark>です。広報やマーケティング部門だけでなく、情報システム部門や現場の店舗責任者も交えて、リスクを洗い出す体制が求められます。 |
事例2 従業員のプライベート投稿による炎上
「バイトテロ」という言葉に代表されるように、従業員(特にアルバイト)による不適切なSNS投稿が、企業のブランドイメージを根底から揺るがす事件も頻発しています。たとえ個人のアカウントからの投稿であっても、企業の看板を背負っていることを忘れてはいけません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | 過去に、大手牛丼チェーン「すき家」の店舗で、アルバイト従業員が調理器具で不適切な行為をしたり、食材で遊んだりする様子を撮影した動画をSNSに投稿。動画は瞬く間に拡散され、大きな社会問題となりました。 |
| 炎上の原因 |
|
| 企業の対応 | 運営会社は即座に公式サイトで謝罪し、当該店舗の営業を一時停止。動画に映っていた従業員を解雇し、法的措置も検討するとの厳しい姿勢を示しました。同時に、全従業員への再教育や再発防止策の徹底を約束しました。 |
| この事例からの教訓 | 従業員一人ひとりの行動が企業全体の責任として問われるという事実を、全社的に共有することが重要です。正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマーを含むすべての従業員に対し、SNS利用に関する明確なガイドラインを定め、定期的なリテラシー教育を実施することが、この種のリスクに対する最も効果的な予防策となります。 |
事例3 顧客対応の失敗が招いた二次炎上
最初の小さな火種への対応を誤ったために、さらに大きな炎上(二次炎上)へと発展してしまうケースです。特に、顧客からのクレームに対する初期対応のまずさは、企業の姿勢そのものが問われる深刻な問題につながりかねません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | あるアパレルECサイトで商品を購入した顧客が、届いた商品に不備があったためカスタマーサポートに連絡。しかし、担当者から高圧的で誠意のない返信を受けました。この顧客が、企業との一連のやり取りのスクリーンショットをX(旧Twitter)に投稿したことで、批判が殺到しました。 |
| 炎上の原因 |
|
| 企業の対応 | SNSでの批判が拡大した後、企業は公式サイトで謝罪文を発表。初期対応に問題があったことを認め、当該顧客に直接謝罪するとともに、カスタマーサポートの対応マニュアルの見直しと教育体制の強化を約束しました。 |
| この事例からの教訓 | SNS時代において、顧客一人とのコミュニケーションは、常に「世間全体」に見られているという意識を持つ必要があります。クレーム対応は、単なる火消しではなく、企業のファンになってもらうチャンスでもあります。どのような状況でも、まずは顧客の声に真摯に耳を傾け、誠意ある対話を心がけることが、二次炎上を防ぐための鍵となります。 |
絶対に押さえるべき炎上対策5つの鉄則【予防編】
SNS炎上は一度発生すると、企業のブランドイメージや信頼を大きく損ないます。しかし、その多くは適切な予防策を講じることで未然に防ぐことが可能です。ここでは、すべての広報・SNS担当者が実践すべき、炎上を予防するための5つの鉄則を具体的に解説します。
鉄則1 SNS運用ガイドラインを策定し周知徹底する
企業のSNS運用における炎上リスクを低減させるための最も基本的な対策が、SNS運用ガイドラインの策定です。ガイドラインは、担当者の個人的な判断による投稿を防ぎ、企業としての一貫した姿勢を保ち、組織全体でリスクを管理するための羅針盤となります。担当者が変わっても運用の品質を維持できるため、属人化の防止にも繋がります。
ガイドラインに盛り込むべき必須項目
効果的なガイドラインを作成するためには、以下の項目を網羅することが推奨されます。企業の業種や文化に合わせて内容はカスタマイズしてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本方針 | SNS運用の目的、ターゲット、ブランドとしての人格(ペルソナ)、コミュニケーションのトーン&マナーなどを定義します。 |
| 運用体制 | 投稿の企画、作成、承認、投稿、コメント監視、レポーティングなど、各プロセスの担当者と責任範囲を明確にします。 |
| 投稿コンテンツのルール | 著作権、肖像権、商標権などの権利侵害に関する注意点、引用・転載のルール、差別的・誹謗中傷的な表現の禁止など、具体的な禁止事項を定めます。 |
| 個人情報・機密情報の取り扱い | 顧客情報や社内の未公開情報などを投稿しないことを徹底します。写真に意図せず映り込んでしまうリスクについても注意喚起します。 |
| 緊急時の対応フロー | 炎上の兆候を発見した際の報告ルート、対応責任者、情報収集の方法、対外的な発表の基準など、緊急時の行動計画を定めます。 |
| 従業員のプライベート利用に関する指針 | 従業員が個人アカウントで自社や業務について言及する際の注意点や、守るべき事項について定めます。 |
策定後の周知徹底が成功の鍵
ガイドラインは作成するだけでは意味がありません。全従業員がその存在と内容を正しく理解している状態が不可欠です。新入社員研修や定期的な勉強会で繰り返し説明し、いつでも誰でもアクセスできる社内ポータルなどに掲示することで、組織全体のリスク意識を高めましょう。
鉄則2 複数人による投稿チェック体制を構築する
どれだけ注意していても、人間である以上ミスは起こり得ます。担当者一人の思い込みや知識不足、誤字脱字、不適切な表現などが炎上の引き金になるケースは後を絶ちません。こうしたヒューマンエラーを防ぐために、複数人による多角的な視点での投稿前チェック体制の構築は必須です。
効果的なチェック体制のポイント
理想は、役割の異なる3名以上でのチェック体制です。
- 投稿作成者:投稿の原案を作成します。
- 一次承認者(上長など):内容の事実確認、誤字脱字、ガイドラインとの整合性をチェックします。
- 最終承認者(部門責任者など):企業の公式な発信として問題がないか、ブランドイメージを損なわないか、社会通念上不適切でないかなど、より俯瞰的な視点で最終判断を下します。
チェックリストを作成し、各承認者が項目に沿って確認することで、チェックの漏れや基準のブレを防ぐことができます。「この表現は誰かを傷つけないか」「誤解を招く可能性はないか」「企業の品位を保っているか」といった項目を設けることが重要です。特にキャンペーンや社会的な話題に触れる投稿は、より慎重なチェックが求められます。
鉄則3 SNS監視ツールで炎上の火種を早期発見する
自社の投稿だけでなく、SNS上で自社や自社製品・サービスについてどのような言及がされているかを把握する「ソーシャルリスニング(SNS監視)」も、炎上予防に欠かせません。炎上は、小さな火種が瞬く間に燃え広がることで発生します。ネガティブな投稿や誤解に基づく批判を早期に発見し、迅速に対応することで、本格的な炎上への発展を防げる可能性が高まります。
SNS監視ツールの主な機能
手動での監視(エゴサーチ)には限界があるため、専門のSNS監視ツールを導入するのが効率的です。多くのツールには以下のような機能が備わっています。
- キーワード監視:社名、商品名、関連キーワードを含む投稿をリアルタイムで収集します。
- ネガティブ/ポジティブ判定:収集した投稿の内容をAIが分析し、ネガティブな内容かポジティブな内容かを自動で判定します。
- アラート機能:ネガティブな投稿が急増した場合や、特定のインフルエンサーによる言及があった場合などに、メールやチャットツールで担当者に通知します。
- レポート機能:言及数の推移や関連キーワードなどをグラフで可視化し、世論の動向を分析できます。
これらのツールを活用することで、24時間365日、炎上の兆候を見逃さず、問題が小さいうちに対処することが可能になります。
鉄則4 従業員へのSNSリテラシー教育を定期的に実施する
企業の公式アカウントだけでなく、従業員のプライベートなSNS利用が炎上の原因となるケースも少なくありません。アルバイト従業員による不適切動画の投稿(バイトテロ)や、社員による内部情報の漏洩などは、企業の信用を根底から揺るがす深刻な事態に繋がります。これを防ぐためには、全従業員を対象とした継続的なSNSリテラシー教育が不可欠です。
研修で伝えるべき内容
研修では、単に「やってはいけない」と禁止するだけでなく、なぜそれが危険なのか、どのようなリスクがあるのかを具体的に理解させることが重要です。
- SNSの特性の理解:一度投稿した内容は完全に削除できない「デジタルタトゥー」の問題や、驚異的なスピードで情報が拡散される特性について解説します。
- 過去の炎上事例の共有:他社や自社で実際に起こった炎上事例を具体的に示し、原因と結果を学ぶことで、自分ごととして捉えさせます。
- 情報漏洩のリスク:業務で知り得た機密情報や個人情報を公開することの危険性、制服や名札が写った写真から勤務先が特定されるリスクなどを伝えます。
- 自社ガイドラインの再確認:自社で定めたSNS利用に関するルールを改めて周知し、遵守を求めます。
「インターネットの向こう側には生身の人間がいる」という想像力を持つことの重要性を伝え、企業の一員としての自覚と責任ある行動を促すことが、従業員由来の炎上を防ぐ上で最も効果的です。
鉄則5 常に誠実なコミュニケーションを心がける
最後の鉄則は、技術的な対策というよりも、SNS運用における根本的な「姿勢」です。日頃からユーザーに対して誠実なコミュニケーションを積み重ねていくことは、万が一の事態が発生した際に企業を守る「防波堤」となり得ます。普段からユーザーと良好な関係を築けていれば、多少の批判や誤解が生じても、擁護してくれるファンが現れたり、冷静な議論に落ち着いたりする可能性が高まります。
誠実な姿勢を示すためのポイント
- ユーザーの声に耳を傾ける:肯定的な意見だけでなく、批判的なコメントや改善提案にも真摯に目を通し、今後のサービス改善などに活かす姿勢を見せます。
- 間違いは素直に認める:投稿内容に誤りがあった場合は、隠したりごまかしたりせず、速やかに訂正し謝罪します。
- 一方的な宣伝に終始しない:ユーザーにとって価値のある情報を提供したり、時にはユーモアを交えたりするなど、人間味のあるコミュニケーションを心がけます。
- 感謝を伝える:自社の商品やサービスを愛用してくれるファンや、好意的なコメントをくれるユーザーに対して、積極的に感謝の気持ちを伝えます。
SNSは企業の人格が最も表れる場所です。常にユーザーへの敬意を忘れず、誠実で透明性の高いコミュニケーションを心がけることが、炎上しにくい強固なブランドイメージを築くための最善の策と言えるでしょう。
もし炎上してしまったら 沈静化に向けた炎上対策【事後対応編】
どれだけ入念に予防策を講じていても、人的ミスや予期せぬ解釈の違いなどから、SNS炎上が発生する可能性をゼロにすることはできません。万が一炎上が発生してしまった場合、その後の対応のスピードと質が、企業のブランドイメージや事業継続に深刻な影響を与えます。パニックに陥らず、冷静かつ迅速に事後対応を進めることが、被害を最小限に食い止め、信頼を回復するための鍵となります。ここでは、炎上を沈静化させるための具体的な手順を解説します。事後対応の成否が、企業の未来を左右するといっても過言ではありません。
事実確認と情報収集を迅速に行う
炎上の兆候を察知したら、まず最初に行うべきは、憶測や感情に流されず、何が起きているのかを客観的に把握するための事実確認と情報収集です。この初動対応の正確さが、その後の対応方針を大きく左右します。不正確な情報に基づいて対応してしまうと、さらなる批判を招き、二次炎上につながる危険性が非常に高くなります。
以下の「5W1H」のフレームワークに沿って、情報を整理しましょう。
- When(いつ):いつ投稿されたものか。いつ頃から拡散が始まったか。
- Where(どこで):どのSNSプラットフォーム(X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなど)が炎上の中心か。
- Who(誰が):誰の投稿が発端か。どのようなユーザー層が批判の声を上げているか。
- What(何を):何が問題視されているのか(投稿内容、画像、キャンペーン企画など)。
- Why(なぜ):なぜ批判されているのか。批判の論点は何か。
- How(どのように):どのくらいの規模で拡散しているか(リポスト数、コメント数、関連投稿の数など)。
これらの情報を収集する際は、SNS監視ツールや検索エンジンのエゴサーチなどを活用し、リアルタイムで状況を把握し続けることが重要です。集めた情報は時系列で整理し、社内の関係者と共有できる客観的な資料としてまとめておきましょう。
対応方針を決定し社内で共有する
収集・整理した客観的な事実に基づき、次に対応方針を決定します。この意思決定は、広報担当者だけでなく、法務、顧客対応、関連事業部、そして経営層など、複数の部門が連携して行う必要があります。誰が最終的な意思決定を下すのか、責任者をあらかじめ明確にしておくことが、迅速な判断につながります。
対応方針にはいくつかの選択肢があり、状況に応じて最適なものを選択しなければなりません。
| 対応方針 | 概要と判断基準 |
|---|---|
| 静観 | 誤解に基づく批判や、ごく一部での批判にとどまっている場合。反論がさらなる燃料投下になるリスクがある際に選択。ただし、事態の悪化に備え、監視は継続する。 |
| 事実関係の説明 | 事実誤認やデマによって炎上している場合。客観的な証拠を示し、冷静に事実を説明する。感情的な反論は避け、あくまで淡々と訂正に徹する。 |
| 謝罪 | 企業側に非があることが明らかな場合。速やかに非を認め、誠意ある謝罪を行う。中途半端な謝罪は火に油を注ぐため、謝罪すると決めたら徹底的に行う。 |
| 投稿の削除 | 不適切な投稿が原因の場合、さらなる拡散を防ぐために削除を検討する。ただし、無言で削除すると「隠蔽」と捉えられ、さらなる炎上を招くため、削除する理由の説明や謝罪とセットで行うのが原則。 |
決定した方針は、関係部署の全従業員に速やかに共有し、情報統制を徹底します。問い合わせ窓口を一本化し、従業員が個人でSNSや顧客対応でバラバラな見解を発信しないよう、厳格なルールを周知することが混乱を防ぐ上で不可欠です。
誠意ある謝罪と説明を適切なタイミングで行う
企業側に非があり、謝罪が必要だと判断した場合、その「タイミング」「内容」「方法」が極めて重要になります。対応を誤れば、鎮火するどころか、さらに炎を大きくしてしまう可能性があります。
謝罪のタイミング
謝罪は早ければ早いほど良いとされがちですが、事実確認が不十分なまま謝罪すると、内容が二転三転し、かえって不信感を増大させます。一方で、対応が遅すぎれば「対応が遅い」「問題を軽視している」という新たな批判を生みます。事実関係の調査に時間がかかる場合は、まず「現在調査中である」という一次報告を速やかに行い、真摯に対応している姿勢を示すことが有効です。
謝罪文に含めるべき5つの要素
誠意が伝わる謝罪文には、以下の要素を盛り込むことが基本です。単に「申し訳ございません」と繰り返すだけでは、ユーザーの納得は得られません。
- 明確な謝罪の言葉:何に対して謝罪しているのかを具体的に示し、率直にお詫びする。
- 事実関係の説明:調査で判明した客観的な事実を、誠実に説明する。
- 原因の究明と説明:なぜ問題が発生したのか、その根本原因を説明する。
- 具体的な再発防止策:二度と同じ過ちを繰り返さないための、具体的な取り組みを示す。
- 責任の所在:誰に責任があるのかを明確にする(例:「弊社の監督不行き届き」など)。
逆に、言い訳がましい表現(「〜の意図はなかった」)、責任転嫁、難解な専門用語の多用は、ユーザーの感情を逆なでする「NG対応」の典型例です。誰に対して、何について謝罪するのかを明確にし、真摯な言葉で伝えることを第一に考えましょう。
発表する媒体の選定
謝罪文をどこで発表するかも重要です。基本的には、炎上が発生したSNSプラットフォーム上で第一報を出すのがセオリーです。その後、公式サイトのトップページに「お詫びとお知らせ」として掲載し、必要であればプレスリリースを配信するなど、複数の媒体を組み合わせて広く告知します。企業の姿勢を真摯に示すことで、少しずつ信頼回復への道筋を立てていくことができます。
自社だけでの炎上対策に不安があるなら専門家への相談も
ここまでご紹介した炎上対策は、企業活動において必須の取り組みです。しかし、SNSの運用ルール策定や24時間体制での監視、従業員教育などをすべて自社のリソースだけで完璧にこなすのは、決して容易ではありません。特に、専門知識を持つ人材が不足していたり、日々の業務に追われて十分な時間を確保できなかったりするケースは多いでしょう。そのような状況で無理に自社対応を続けると、対策に抜け漏れが生じ、かえって炎上リスクを高めてしまう可能性すらあります。炎上対策に行き詰まりや不安を感じる場合は、知見と実績が豊富な外部の専門家を頼ることも有効な選択肢です。
炎上対策コンサルティングの活用
炎上対策コンサルティングは、SNSリスク管理の専門家が、各企業の状況に合わせて最適な炎上対策の体制構築を支援するサービスです。現状のリスク分析から、具体的なガイドラインの策定、緊急時の対応フロー構築まで、プロの視点から包括的なサポートを受けられます。
コンサルティングを活用する最大のメリットは、自社では気づきにくい潜在的なリスクを客観的に洗い出し、最新の事例に基づいた実効性の高い対策を講じられる点にあります。また、対策が属人化することを防ぎ、組織全体として危機管理能力を底上げすることにも繋がります。
| サービス項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| リスクアセスメント | 現在のSNS運用状況や社内体制をヒアリングし、炎上の危険度や潜在的なリスクを診断・評価します。 |
| ガイドライン策定支援 | 企業の理念や事業内容に合わせ、実用的なSNS運用ガイドラインや従業員向けのソーシャルメディアポリシーを作成します。 |
| 緊急時対応フローの構築 | 炎上発生時の報告ルート、役割分担、情報公開の基準などを定めた具体的な行動計画(クライシスコミュニケーションプラン)を策定します。 |
| 従業員向け研修・教育 | SNSリテラシー向上のための研修会や、炎上発生時を想定したシミュレーション訓練などを実施します。 |
費用は企業の規模や依頼する内容によって異なりますが、スポットでの相談から年間契約まで、多様なプランが用意されています。複数の専門会社から見積もりを取り、自社の課題や予算に最も合ったパートナーを選ぶことが重要です。実績や業界への知見、サポート体制などを比較検討しましょう。
24時間365日対応のシエンプレによるSNS監視サービス
炎上の火種は、企業の営業時間外である夜間や休日に投稿され、一気に拡散することが少なくありません。この「監視の空白時間」をなくすために非常に有効なのが、専門会社によるSNS監視サービスです。中でも、株式会社シエンプレが提供するサービスは、多くの企業で導入実績があります。
シエンプレのような専門サービスは、AIによる自動監視と専門スタッフによる目視監視を組み合わせることで、見逃しが少なく精度の高い監視体制を実現しています。単にネガティブな投稿を発見するだけでなく、文脈や拡散状況を分析し、炎上の危険度を判断した上で迅速に報告してくれるため、企業は早期に対応を開始できます。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 24時間365日の監視体制 | 担当者の負担を大幅に軽減しつつ、夜間・休日でも発生したリスクを即座に検知できます。 |
| 炎上の火種の早期発見 | 専門家の知見に基づき、放置すれば大きな炎上に繋がりかねない投稿を初期段階で発見・報告します。 |
| 客観的なリスク分析 | 自社への批判やネガティブな意見を客観的に分析したレポートにより、今後のマーケティング活動や商品開発に活かすことができます。 |
| 緊急時のエスカレーション | 事前に定めた基準に基づき、危険度の高い投稿を発見した際に電話やチャットツールで緊急連絡を受けられます。 |
自社での常時監視がリソース的に難しい場合や、より確実に炎上の兆候を捉えたい場合には、こうした外部サービスの活用が極めて効果的です。リスクを未然に防ぐための「保険」として、導入を検討する価値は十分にあるでしょう。
まとめ
本記事では、有名企業の失敗事例を交えながら、SNS炎上を未然に防ぐための予防策と、万が一炎上してしまった際の事後対応について解説しました。SNSの炎上は、一度発生するとブランドイメージの失墜や売上減少といった深刻なダメージにつながるため、決して他人事ではありません。
最も重要なのは、「炎上させない」ための日頃からの備えです。SNS運用ガイドラインの策定や複数人によるチェック体制の構築、従業員へのリテラシー教育といった【予防編】で紹介した5つの鉄則を徹底することが、炎上リスクを低減させる何よりの対策となります。
しかし、どれだけ注意を払っていても炎上の可能性をゼロにすることは困難です。そのため、万が一の事態に備え、迅速な事実確認から誠意ある謝罪に至るまでの事後対応フローをあらかじめ準備しておくことも不可欠です。自社での対応に不安がある場合は、シエンプレのような専門家の知見やサービスを活用することも有効な手段となります。本記事で解説した内容を参考に、盤石な炎上対策を構築していきましょう。
※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします